2013年に発行されたベストセラー本『嫌われる勇気』を読みました。何度も読み返さないと全ては理解できなさそうですが、一度読み終わった時点のぼくの感想を書いてみます。
『嫌われる勇気』はどんな本?
この本は、フロイト、ユングと並び「心理学の三大巨頭」と称される、アルフレッド・アドラーの思想(アドラー心理学)について書かれています。ただ説明されているのではなく、青年と哲人の対話という物語形式でまとめられています。
そのおかげで、小説のようにすらすらと読みやすかったです。
アドラー心理学を習得している哲人の家を、ひねくれた青年が訪れて議論を交わす設定です。青年は哲人の教えに対し懐疑的で、声を荒げる場面もあります。
アドラー心理学は一般的な心理学と考え方がかなり異なっているので、読んでいるうちに「ほんとかよ!」と突っ込みそうになりますが、青年が読者の代わりに突っ込んでくれるので違和感なく読み進められます。
アドラー心理学
フロイトやユングの心理学と大きく違う点は、いまの自分を決めているのは過去の「原因」ではなくて、いまの「目的」だということです。
例えば、小さい頃いじめを受けて引きこもりになった人がいるとします。フロイトやユングの心理学では、その人はいじめを受けたことがトラウマとなり引きこもりになったと考えます。過去の「原因」がいまの自分を決めているのです。それではいつまで経っても引きこもりから抜け出すことはできません。
しかしアドラー心理学では、その人には「外に出ない」という目的があって、その目的を達成するために、不安や恐怖といった感情をつくり出していると考えます。
アドラー心理学ではトラウマの存在を明確に否定するそうです。いまの自分が幸せになる勇気を持てば、誰でも今日から幸せになれるそうです。
あなたが不幸なのは、過去や環境のせいではありません。ましてや能力が足りないのでもない。あなたには、ただ、"勇気"が足りない。いうなれば「幸せになる勇気」が足りていないのです。
本文53ページより引用
他にも
- すべての悩みは「対人関係の悩み」であること
- 劣等感と劣等コンプレックスの違い(劣等感は成長のために必要だけど、こじらせて劣等コンプレックスにしてはいけない)
- 承認欲求を持ってはいけないこと
など、ちょっと難しいけど「なるほど」って思える教えがたくさんあります。
とくに忘れないようにしなきゃって思ったのは「相手を叱ってはいけない、ほめてもいけない」という教え。
相手を叱ったりほめたりすることは、相手よりも自分の立場が上だと思っていることを示しています。アドラー心理学では人間に上下関係はなく、誰もが対等であると考えます。
なので相手を叱ったりほめたりするのではなく、感謝や尊敬の気持ちを伝えることが良いそうです。
終盤では、人生とは連続する刹那であるとして「いま、ここ」に強烈なスポットライトを当てよと主張します。
過去にどんなことがあったかなど、あなたの「いま、ここ」にはなんの関係もないし、未来がどうであるかなど「いま、ここ」で考える問題ではない。「いま、ここ」を真剣に生きていたら、そんな言葉など出てこない。
本文271ページより引用
心からやりたいことがあったとしても、過去の自分や未来の計画を言い訳にして諦めてしまったら不幸ですよね。
『嫌われる勇気』を一度読み終わった心境
この本には人生の本質のような大事なことが書かれているような気がします。読んでいるうちに「もっと知りたい!この先には何が書かれているのだろう?」とワクワクしました。
いま一度読み終わってみて、アドラー心理学を一部分は理解しましたが、全体的に腑に落ちたような感覚はありません。この本にもアドラー心理学を自分のものにするには、生きてきた年数の半分の時間が必要になると書かれています。ぼくは22歳なので11年必要ってことですね。
人生をシンプルに幸せに生きるためのヒントがたくさん散りばめられている気がするので、何度も読み返していきたいと思いました。
続編の『幸せになる勇気』も購入しました。これから読みます。